勉強のやる気をどう引き出すか(その3)(2009/04/12)

先日、NHKの番組『プロフェッショナル』で子供や部下の育て方の特集が放送されていました。司会者で脳科学者の茂木健一郎さんが、とても興味深いご提言をされていました。

・「ひたすら待つ、ただし、観察しながら」(同番組より引用)

・「芽を見つけたら、その時、本気でアクション」(同番組より引用)

「やる気の芽が出るまで、見守ってあげてください。」とご両親にお願いすることがあります。「いつまで待てばよいのか?その芽が本当に出るのか?」とご両親からご質問(ご叱責?)を受けることがしばしばあります。

しかし、「もう芽が出かかっているのにな。」と思うときもあります。私は、メールや帰り際の玄関先で、そのことをご両親にお伝えするのですが、私の真意に気がついて、その場で(私の帰宅後でも良いのですが)お子さんを褒めて下さる方もいらっしゃるのですが、「そうですか。」と受け流されてしまうこともあります。

「ひたすら待つ」だけでは駄目で、「子供をつぶさに観察し、わずかな変化を見逃さず、褒める」ことが大切です。その変化は本当にわずかなので、観察する方がよく見ていないと見逃してしまいます。

「褒める」のも技術が必要なのではないかと思います。同番組内で、あるお母さんが「子供の悪いところばかりに目がいってしまって、子供を心の底から褒めることができない。」とご質問されていました。茂木健一郎さんは、「明と暗のところの明のところだけ取り上げて褒めて下さい。」とアドバイスされていました。

去年の話ですが、理科のテストで30点だった子が70点を取ったことがありました。私が、その子に「お母さんに褒められただろう?」と聞くと、「数学の40点を叱られた。」と言うのです。私がお母さんに「数学の点数は伸びてませんが、理科は点数が上がったので褒めてあげて下さいね。」と申し上げ たら、「理科の点数はちゃんと褒めましたよ。」とおっしゃられました。 よくよく話を聞いたら、「理科の点数は良かったね。でも、数学が悪いじゃないの!」とおっしゃられたそうです。お母さんは理科のことを褒めたつもりでも、その子は褒められたとは思っていないわけです。 むしろ、数学の点数を叱られたことしか覚えていません。

「明暗があったら、明のところだけを見て褒める」、これはとても大切です。悪い部分は、別の日に注意すれば良いのです。褒めるときは、褒める。叱るときは、叱る。これをごちゃ混ぜにして、褒めながら叱ると、子供は褒められたと感じません。その結果、いつまで経っても子供のやる気は育ちません。

*引用先:『NHK プロフェッショナル 仕事の流儀』2009年3月31日放送

このページの先頭へ